【感想】承天閣美術館「生誕300年記念 若冲展」 [感想]

京都、相国寺承天閣美術館で開催されている「生誕300年記念 若冲展」の見どころは前回記事<「若冲展」の『動植綵絵』を見逃した方!見てみたい方!京都・相国寺へ!>で書きました。今回は私の感想です。備忘録として書きます。もし良ければお付き合いください。

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相国寺承天閣美術館には、第一展示室と第二展示室の2つの展示室があります。


第一展示室には、「釈迦三尊像」(しゃかさんぞんぞう)3幅と「動植綵絵」(どうしょくさいえ)30幅。


色彩の世界。


「動植綵絵」には、様々な動物、様々な植物が色鮮やかに描かれています。

植物は・・・
松、シュロ、
梅、もみじ、南天、
バラ、牡丹、芙蓉、
ひまわり、菊、アジサイなどなど...


そして動物は・・・
若冲と言えばのニワトリ、
架空の動物の鳳凰、
鶴、オウム、
スズメやメジロ、
オオルリなどの小鳥たち、
タコ、フグ、ハンマーヘッド(!)、
さまざまな海の魚、貝、
川の魚、
蛙やトカゲ、ヘビ、
トンボ、カマキリなどの昆虫...

すごくたくさんの種類の動物。
鳥が多いです。
(他では虎を描いたり、犬を描いたりしているけれど、「動植綵絵」にはケモノの画題はないのです。何故なのでしょうね?虎は本物を見て書けないからという事なら分かりますが、犬や猫なら身近にいただろうに?仏教的な観点があるのでしょうかね?)

ニワトリは何枚も描かれているのだけど、白いのや黒いの、茶色いの。
多種多様なニワトリが色々な構図で描かれます。

雄々しく一羽だけのもあれば、
オンドリとメンドリのセットのもあり、
ニワトリの群れているのあり。(→若冲といえば、この「群鶏図」がイメージ)

小鳥はいろいろな種類がいます。
カワイイ♡
鳥に詳しい方なら、種類を言い当てるのが楽しくなりそう。(私もそうなりたい!)


どれも緻密。そして写実的。色鮮やか。生き生きと力強い。


大きめな絵なのに、見ていて全く散漫にならない考え抜かれた構図。
埋め尽くすように描かれていても、苦しさはなく、奥行き感がある。


西洋絵画にはない立体感の表現がすごいです。


私の印象に強く残っているのは、「動植綵絵 南天雄鶏図」(どうしょくさいえ なんてん・ゆうけいず)です。

赤い南天の実がたわわに実っているその前に、猛々しい黒い雄のニワトリの図。
雄鶏のトサカは赤。
背景の南天の赤い色と同化してしまうでは、と思いきや、白い斑点がリアルにトサカの上にのせられていて、妙に際立っています。

そして、南天。
小さな実は、一粒一粒丁寧に描かれていて、その細かさに見入りました。

後で東京都美術館「若冲展」の図録を買って読むと(承天閣美術館で販売していました)、南天の赤い色は立体感を出すために、裏彩色を施している箇所、表から赤の顔料(辰砂)のみで描いている箇所、さらに別の染料で重ねている箇所と、ものすごーーく緻密な手法が取られているのだそうです。

はぁーーー。すごいですね。


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「動植綵絵 南天雄鶏図」


それから、見てみたかった「動植綵絵 池辺群虫図」(どうしょくさいえ ちへんぐんちゅうず)。
池の周りにさまざまな小さな生き物達がいるのです。
生きとし生けるものがみな尊いと、若冲が伝えてきます。若冲は優しい人だったのでしょうね。

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「動植綵絵 池辺郡虫図」



そして第二展示室。

第二展示室には、相国寺、鹿苑寺所蔵の作品が勢ぞろいしています。
障壁画 全50面!ふくめ、ほとんどが水墨画です。


モノクロの世界。



驚きました!

「鹿苑寺大書院障壁画」(ろくおんじ・だいしょいん・しょうへきが)のうち、床の間の障壁画が2つも移築展示されているのです!
(鹿苑寺は金閣寺です。金閣寺は相国寺の塔頭寺院(たっちゅうじいん)の一つ。相国寺のお仲間です。)

相国寺さんのホームページよりお写真拝借しました。

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「鹿苑寺大書院障壁画 月夜芭蕉図」
(ろくおんじ・だいしょいん・しょうへきが つきよ・ばしょうず)

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「鹿苑寺大書院障壁画葡萄小禽図」
(ろくおんじ・だいしょいん・しょうへきが ぶどう・しょうきんず)小禽とは小鳥のこと。

この空間ごと!ガラスケースに入って展示されているのです!びっくりしました。

それにしても、な、なんと素敵な...!!
語彙が貧弱なのですが、ううう...こんな素敵な空間に居てみたい!

芭蕉ってよくあるモチーフなのでしょうか?
暖かい風が抜けていきそう。

テクニックの事は詳しく分かりませんが、
見ていて落ち着きます。空間との調和。
水墨の濃淡が空気と溶け合う感じです。


きれいだな。いいなぁ。


畳ごとガラスケースに入っているので、全然近くではみれないのですが、お部屋の雰囲気よく分かります。というか、こんな床の間ほしい!(我が家はフローリングの洋間しかありません。床の間...憧憬♡)こちらの鑑賞には短眼鏡か双眼鏡、あると良いかも。


こちらの展覧会、意外にも見応えたっぷりなので、
時間に余裕をもって行かれるのをおすすめします!



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生誕300年記念『伊藤若冲展 』
承天閣美術館
会期:2016年7月1日(金)~ 2016年12月4日(日) 
開館時間:午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日:会期中無休
http://www.shokoku-ji.jp/j_nyukan.html
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ちなみに、相国寺のお堂などは通常は拝観できないようです。
せっかく京都へ行くのなら秋の特別拝観日に合わせて行くのがいいかもしれないですね。

●秋の特別拝観日:9月25日~12月15日
●春の特別拝観日:3月24日~6月4日
●拝観できる場所:「法堂」、「方丈」、浴室(春のみ)、開山堂(秋のみ)
注意1)2017年以降は上記の期間かどうか分かりませんので、相国寺へお問い合わせください。
注意2)お堂の拝観時間は午前10:00〜午後4:00です。美術館と異なるのでご注意くださいね。


ちなみに、ちなみに、相国寺へお参りするのでしたら、坐禅会に参加するのもよいかも!開催日は、毎月第2・第4日曜日のよう。(8月は休会、12月第4日曜は休会。※2016年8月現在)坐禅の後は法話も聞けるようです。(相国寺は臨済宗)


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