「アーティスト・ファイル 2013」 [現代アート]

「アーティストファイル2013」 を見てきました[目]
国立新美術館
2013年1月23日(水)〜4月1日(月)
http://artistfile2013.nact.jp/


「現代」を生きる国内外の注目されている8名の現代アーティストを紹介している展覧会です。各アーティストの展示スペースが壁で区切られ独立しているので、一人一人じっくり鑑賞できました。空間をめいっぱい使っての表現からは、国籍さまざまなアーティストそれぞれが感じている「現代」を肌身を通して伝わってきます。


artistfile2013_1.jpg image.jpg


出展アーティストは・・・

•ダレン・アーモンド(イギリス)
•東亭 順 (あずまてい じゅん/日本)
•チョン・ヨンドゥ(韓国)
•利部志穂 (かがぶ しほ/日本)
•國安孝昌(くにやす たかまさ/日本)
•ナラニ・マラニ(インド)
•中澤英明(なかざわ ひであき/日本)
•志賀理江子(しが りえこ/日本)


特に印象深かったアーティスト3名、チョン・ヨンドゥさん(韓国)、ナリニ・マラニさん(インド)、國安孝昌さん(日本)の感想です。


ーーーーーーーーーーーーー

●ヂョン・ヨンドゥさん

原色鮮やかなキッチュな色合いがグッとくる写真と映像作品でした。

≪ワンダーランド≫シリーズ
入場してすぐの展示室。入った瞬間、色がわぁーっと目に入って一気に作品の世界に引っぱりこまれます。小さな子どもの絵を写真で再現しているヂョンさんの写真は、ファンタジーとリアルが交錯する不思議な写真です。正面の壁とその隣の2面の壁に下から上まで、大きさも配置もランダムな展示方法がまた見る側を楽しくさせます。
子どもの絵って、面白いですよね。私、大好きです。遠近感、サイズ感関係なく、興味の度合いとか、願望とかがそのまま絵に表れるから。見てると、その無秩序が大人にはクスッと可笑しく思えたりします。その無秩序な子どもの絵を写真で再現したヂョンさんはすごい!
地面でも空でもない画面の真ん中に色々な物が描かれていたら、それをそのまま宙吊りにして画面に収めたりしているのです。合成ではなくて。カワイイ色のふりふりのドレス、着ているのは普通の体型の普通の東洋人。そのリアルがまた可笑しいのです。スタイルの良い白人じゃあ、リアリティないですものね。

≪手作りの記憶≫シリーズ
映像作品です。二つの映像が同時に映されていて、一つは公園でお年寄りが昔話を語っている映像、もう一つはその昔話に出てくるワンシーンの情景を再現している映像。
台本があるとは思えない、公園にいたお年寄りにカメラを向けて思い出話を語ってもらっているのですが、韓国の方ってすごくお話上手?!聞き手が良いのかな?とてもプライベートな思い出話をとても饒舌に語っているのです。お年寄りの思い出話って、遠すぎない昔の事なので親近感がありながら、でも美化されたり、大げさになったりして、ちょっとドラマチック?
そんなお年寄りのちょっとドラマチックなストーリーなのに、再現しているワンシーンは、安っぽいはりぼての舞台セットのようなものを合わせていて、そこが面白いのです。

ヂョンさんの作品は、なによりもキッチュな色彩が好きでした。現実とは少しだけ乖離した空想の世界、みんな持っているのかな?!

image.jpg

≪ワンダーランド≫より<お母さんの庭>



●ナリニ・マラニさん

心の深い所に突き刺さる作品でした。インド出身の女性作家です。インドで最も注目されているアーティストの一人。

≪内在する他者との分裂≫という作品は、14枚の連続したパネルからなる絵で、オレンジ〜ピンクを基調にした暖色系の色合いにちょっとグロテスクさのあるさまざまなイメージが浮遊するように描かれています。
インドの神様のような人、天使のような人、雲に乗ってやってくる動物、浮遊する胎児や脳ミソ…
天国なのか地獄なのか、作者の心の中なのか…
面白いのが、アクリルパネルの裏から絵付けされているので、温かみのある作者の筆跡は硬いアクリルではねつけられているような表現です。
温かさと冷たさが混雑しているような絵です。
14枚のパネルが壁面に並び、古い伝説の大判絵巻物みたいな感じが引き込まれます。

もう一つの作品≪消失した血痕を探して≫も、とても、引き込まれる作品でした。
暗くて広い展示部屋の四方の壁にはプロジェクターでさまざまなイメージが投影されています。そして中央の天井から5つの大きな透明の筒が吊られて、電動で回転しています。その透明の筒には神様や動物などが描かれていて、プロジェクターの光が当たることで描かれた部分が影となって四方の影のイメージと重なり合うという作品です。すこしおどろおどろしい音に合わせて投影されるイメージがクルクルと変化していく作品です。

頭上でイメージが展開されるので、見上げて鑑賞する形になるのですが、私は自分が赤ん坊になって大人の世界を見上げて観察しているような気分になりました。ちょっと不思議な感覚になる空間。

image.jpg

≪消失した血痕を探して≫



●國安孝昌さん

モダンな真っ白の展示室に、どーんと丸太と陶のブロックで砦のような、櫓のような、モニュメントのようなものが出現します。

壁面は丸太で床から天井まで覆われて、その表明はうねっています。中央には、丸太と陶ブロックで組まれた道のようなものが上方へ隆起しながら螺旋を描き、また大地(床)へと戻ってきます。その丸太の道は大地の地下深くへ潜っていくように見える、とてもダイナミックな作品。陶ブロックの一つ一つは小さな素焼きのブロックです。無数の小さなブロックが丸太とともに積み上げられています。

作品タイトルは、≪Inner Kingdom 2013≫。

自然の素材で組まれた、この大きな作品を目の前にすると、何万年もまえの、今よりももっとずっと自然と距離が近かった時代にタイムスリップしたような感覚になります。森の精霊や神様と一緒に暮らして、その恵みに感謝して…。
現代に暮らすと忘れてしまいがちな大切なもの、思い出せる気がします。

image.jpg


ーーーーーーーーーーーーー

一番印象に残ったのは、ナリニ・マラニさんの≪消失した血痕を探して≫でした。



アーティスト・ファイル2013 ー現代の作家たち

会期
2013年1月23日(水)~4月1日(月)
毎週火曜日休館
開館時間
10:00~18:00 金曜日は20:00まで
※3月23日(土)は「六本木アートナイト2013」開催にともない22:00まで開館
※入場は閉館の30分前まで。
会場
国立新美術館 企画展示室2E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
観覧料(税込)
当日券 1,000円(一般)、500円(大学生)
http://artistfile2013.nact.jp/

image.jpg

展覧会カタログ400円。ナイスプライス。
この他に各アーティストを紹介したカタログは2000円で販売。



nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。